ブロックチェーンは、透明性の高さがブロックチェーンの良さと認識されている一方で、それがマイナス面となり、現状はプライバシーがシビアな分野には応用が難しいという側面もあります。パブリックブロックチェーンプロジェクトのQURAS(キュラス)では、この問題に早期から取り組み、2020年Q1のメインネットの立ち上げを目指しています。

ブロックチェーンにおけるプライバシーの問題

ブロックチェーンの社会活用は、もはや確定路線になっています。市場の成長予測は、各調査機関の予測値は4年で8-15倍になり、特許申請は中国や米国を筆頭に、世界中で活発になってきています。そのような中、ブロックチェーンの社会活用に欠かせないのがプライバシーの保護になります。

ブロックチェーンは、トラストレス(=相手を信頼する必要がない)な取引を実現できる特徴があり、その取引内容には透明性が確保され、改ざんできないという特徴を持ちます。そのため、いままで透明性がないと困ることが起きていた分野において、ブロックチェーンを積極的に活用しようという動きが起きています。しかし、世の中の取引の多くには機密性が必要とされます。つまり、現時点におけるブロックチェーンの活用は極めて限定的になってしまうということです。

より具体的に見ていくと、ブロックチェーンにおける主な取引には送金とスマートコントラクトがあります。透明性が高いブロックチェーンの場合、誰が誰にいくら送金したかを第三者が閲覧することができます。通常は、送金に関わる当事者のアドレスは、人間にとっては意味を成さない文字列に見えるため、それ自体で第三者から当事者が特定されてしまうことはありません。しかし、どこかのポイントで当事者の個人情報とアドレスが紐付くと、そこから当事者が特定されてしまうリスクがあります。

前述のようなリスクは、スマートコントラクトによる取引でも同様になります。既存のブロックチェーンのスマートコントラクトでは、透明性を確保するために、そのコードが第三者から閲覧できるようになっています。スマートコントラクトの利用者は、コードを参照することにより、そのスマートコントラクトがどのようなものかを確認することができます。これにはコードの安全性を多くの第三者からレビューできるメリットがある反面、スマートコントラクトにノウハウが盛り込まれたコードを盛り込むと、誰でもそのノウハウを使えてしまうというデメリットが存在します。つまり、スマートコントラクトにおいてコードを不特定多数に公開することが必ずしも正しいというわけではありません。スマートコントラクトでも、送金と同様に誰が誰にどのような取引をしたかが第三者から特定されてしまうリスクが存在しているのです。

このようにブロックチェーンによる透明性の高さは、ブロックチェーンの社会活用において必ずしも良いわけではなく、プライバシー侵害に繋がる可能性があります。そのため最近では、ブロックチェーンにおけるプライバシー確保の動きが活発になりつつあります。

QURAS(キュラス)はプライバシー侵害に対処するブロックチェーン

パブリックブロックチェーンのQURAS(キュラス)は、前述の問題解決に世界で最も早く取り組んでいるプロジェクトの1つです。

QURASでは、2つのプライバシー技術を用いています。それがZcashでよく知られているゼロ知識証明を実装したzk-SNARKs、Moneroでよく知られているリング署名になります。いずれのプライバシー技術も実績が多く、両技術をベースとした数多くのブロックチェーンが誕生しています。しかし、これらは送金のみの用途にとどまっています。

なぜQURASでは2つの技術を採用したのか?それは一つだけのプライバシー技術では、あらゆるプライバシー保護に対応できないことが背景にあります。

zk-SNARKsは、プライバシー技術の中でも秘匿強度は最高レベルの秘匿強度を誇ります。しかしながら、秘匿化をするための処理が重く、多くのメモリを消費します。そのため、現状はPCによる処理が主になり、モバイルには向きません。つまり、頻繁なトランザクションにも向かないため、zk-SNARKsは主にデータそのものをシールドする用途、スマートコントラクトに向いているといえます。それではzk-SNARKsの利用が進まないのではないかというと、そのようなことはなく、この技術で先行するZcashではより軽量な処理をするためのSaplingが実装されるなど、技術的な革新が進んでいます。

一方で、リング署名はzk-SNARKsよりもトランザクションの処理を軽くすることができます。そのためスマートコントラクトより頻繁な利用シーンである送金用途に向いているといえます。また、リング署名はブロックチェーン活用の可能性を大きく向上させることができます。それは、リング署名がグループ署名方式の1つであることに由来します。例えば、会社の部門10人だけに取引内容を閲覧できるようにする場合、リング署名を用いたほうが柔軟に対応することができます。

このように、QURASでは誰でも参加できるパブリックブロックチェーンにおいて、取引の論理的なプライベートグループを構築することができます。これは、誰でも参加できるインターネットにおいて、VPN張って論理的なプライベートネットワークを構築することができるのと似ています。

そのため、QURASにより今まで透明性が高いためにブロックチェーンに実装できなかったプライバシーにシビアな分野に対してブロックチェーン活用ができるようになります。具体的には、分散型金融(DeFi)や医療・ヘルスケア、エンターテイメントの分野への応用が見込まれています。また、QURASではプロジェクト側が公開トランザクションを利用者に強制させることができるため、従来からのブロックチェーン応用分野にも対応しています。

QURAS(キュラス)について