12月19日に渋谷、neutrio主催の品×ブロックチェーン 最新取り組み事例を学ぶが開催された

 



 まず最初に登壇したのはみずほファイナンシャルグループ、みずほ情報総研

登壇者は村田氏と赤石氏だ。

みずほ情報総研はみずほファイナンシャルグループの傘下で主要グループ会社の1つでIT面での戦略を担当している。主な業務はIT戦略・コンサルティング・システムの制作や運用だ。

システム面において業務の半分以上がみずほ銀行のATMなどで使われる勘定系システムの開発などで、それ以外にもみずほ銀行の取引先のシステム開発やコンサルティングも行っている。

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村田氏はグループ総括でデザインチームの次長で、デジタルを活用した新たなビジネスや事業の創(AIAPI、ブロックチェーン)を担当している

 

今回、ブロックチェーン技術におけるサプライチェーンにおいて、ローソンとの共同で2017年にサプライチェーンの実証実験を行っている。

 

実証実験に関してはローソンと共同でサプライチェーンの実証

みずほにおけるブロックチェーン活動について

1、貿易(トレードファイナンス)

現在、貿易に関して輸出側と輸入側、それらの輸送を担う船会社はそれぞれ同じような内容情報が記載された書類を既存の紙媒体や銀行が行う全銀手順に従ってやり取りをしている。

この貿易に関する、L/C発行や資金決済記録をブロックチェーンを使ってデータ情報化し関係者と共有し共通化するのが目的だ。ただし、貿易には関係する企業が多く、実行するためにはいくつかの壁があるという。

 

2、日立との共同開発

サプライを担う企業とバイヤー間におけるグローバルなビジネス間で日立が、サプライに関する情報収集、みずほがファイナンス部分でのサポートをする形で、現在システムに関してプロトタイプが完成している段階だ。

 

3、KYC(本人確認済み情報における情報共有)

        KYCの本人確認済み情報の共有においての例として、もし、他行で銀行口座を作成する場合  

        に本人確認の為に同じような手続きを繰り返さなければならない、そこで、みずほ銀行で一  

        度口座を作った際に本人確認済みの情報を共有化することで、他行での口座開設やそのほか

       のサービスに登録する場合に本人確認の手続きを簡略化することができる。この取り組みにおいて金融庁やほかの銀行との共同で実証実験を行っている。

 

4、ブロックチェーン技術を使った、携帯電話による送金・決済サービス

       この実証実験において共同で活動したのはみずほ銀行、“3メガバンク”と富士通である。個人間送金を行う上でハイパーレンジ用のパブロックチェーンを使用したアプリケーションを開発し、実際にお金のやり取りをする試みだ。また、勿論個人間であれば使用している銀行口座が異なるため銀行間における決済機能においても実証実験対象になっている。このアプリケーションを使用した送金決済の実証実験は3メガバンクによる忘年会で割り勘の清算に使用したのが初事例となっている。

 

登壇者は 赤石氏にバトンタッチとなった。

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消費者における身近な実証実験ではローソンとの共同でコンビニ決済に関して電子タグを発行し商品に関するサプライ関連を対象としたもので、実験の経緯は2017年4月に経済産業省からコンビニ電子タグ1000億枚発行宣言が策定されたのがきっかけだ。

この実験ではRFIDタグと呼ばれる近距離間無線通信の電子タグを使用している。この実験の背景にはコンビニ業界における人手不足を背景に2025年までにコンビニの全商品にRFIDを適応すると共にレジ対応や在庫確認の効率化も視野に入れている。また、2025年の実現を目標としている為、現在サプライチェーンの運用見直しやRFIDの低価格化などが課題だ。この試みは2017年から2018年の間に10店舗で実証実験を行っている。また、ローソンでもすでに、このRFIDタグを使用した実験が行われており、レジ対応などでどのような効率化が図れるか検証を行っている。コンビニ電子タグ1000億枚発行宣言に対して大手フランチャイズ店舗も強い意欲を示しており、すでに参加している企業もある。みずほ情報総研はこの宣言において事務局として参加している。

 みずほ情報総研とローソンとの共同テーマは食品の安全性と問題点に対しての取り組みだ。

ブロックチェーンの技術面については、主に食品の安全と食品のロスを改善することが目標だ。

 

具体的な実証実験内容では、まず電子タグで集めた情報を蓄積するプラットフォームを構築運用し3つの項目をもって検証している。

 

1.分散台帳によるトレーサビリティ

トレーサビリティに関しては、消費者が受け取る食品がどこで生産、加工、輸送されてきたかの経緯を追いかける検証

2.データの信頼性

       ブロックチェーン上に記録されるデータが悪意のある人間によって改ざん行為がされた場合にどこまで耐えることができるのかの検証

3.情報公開レベルの制御

    サプライに関してビジネス的な戦略要素を多く含んでいる為、どの程度まで情報公開をするべきかの検証

実証期間は2018の4月から8月の間で組織体制としてはローソンLDIがユースケースの提供とみずほ総研がシステム開発と提供を担う形となった。

トレーサビリティの実証実験を行うにあたって電子タグがつけられるのは、食品がメーカーのパッケージになった時点でタグ付けする、対象になった商品はプライベートブランドのお菓子などだ。流れとしてはまずパッケージ化された食品に電子タグを取り付け、メーカーから出荷され卸業者や入荷、輸送などの処理データを蓄積していった。この実証実験で使用されたブロックチェーンプラットフォームはhyperledger fabric1.0だ。

このプラットフォームにはサプライにおける各所にノードを設置しておりそこでデータの記録と蓄積を行っていく、またチャネルと呼ばれる枠組みが設けられている。食品のメーカーから卸業者までの枠組みをチャネル1とし、入荷から消費者までをチャネル2と枠組みすることで情報公開レベルの制御をするとともに膨大な処理データを区切ることで関係者が閲覧した際に見やすくする効果がある。

 

今後の検証と課題ついて技術面では、実証実験で情報公開レベルとトレーサビリティに関しては期待通りの検証結果を得る事が出来たが、データの信頼性における改ざん耐性が不十分な部分がありデータ破壊や改ざんが可能ではあったが使用したブロックチェーンがhyperledger fabric1.0であり、すでにこのブロックチェーンプラットフォームにはアップデートバージョンがあり今後の技術的な発展によって改善が見込める、またアプリケーションの改良によってこの問題に対処できるだろうと語った。そのほかにも、異なる性質を持つブロックチェーンでの相互接続が必要な拡張性や保守性、運用するブロックチェーンをアップデートする場合、システム自体を一度停止する必要があるなど様々な課題が実証実験によって明らかになった。

 

また、ビジネス面においても今回の実証実験では生産ラインが限定的な部分があり、食品の素材を生産する業者へのメリットや卸業務に携わる関係者などサプライチェーンにかかわる全員にメリットがなければ、広めることが難しいと語った。


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IBM

水上 賢氏

 

IBM Food Trust

まず、ブロックチェーンに関しての有用性について語った。

契約書を紙媒体で作成しそれをデータ化した場合、有効性と信頼性があるのは、捺印が施されている紙媒体である。何故ならデータ化された契約書に関しては、捺印の画像処理と編集による偽造が可能だからである。つまり紙媒体をデータ化した書類に関しては信頼性に乏しい一面がある。今まで、信頼性に乏しいデータ化された情報に関しては全く信頼されていない一面があったが、ブロックチェーンの世界観では、改ざんされてしまう一例はあるものの、データそのものに対する改ざんに関して困難であると同時に、全く信頼性がなかったデータ情報が信頼性を得る事が出来た。

 

食品への課題に関しての大きなテーマとして健康被害にかかわる、何故なら人の命に直結してしまうからだ。ブロックチェーンにおける重要な点において、改ざんされてしまっては困る情報を重点的に記録として記載するべきであって、それは例えば医療の情報であったり食品における“命”に直結されるため優先順位が上がっていった。

 

として2006年に北米でほうれん草による食中毒ウィルスが発生し、これによって甚大な被害を被った。この悪影響はその後、6~7年に渡ったと言われている。また、2018年においても北米でレタスに関する品質問題と健康被害が話題だ。このレタス問題に対し当事国の政府は国内のレタスに対して購入を控えるようにと警告を発している。日本国内において食品に関する安全意識は非常に高いが、国外においては全く別の話である。

 

IBMは中国で実証実験を開始した。当時のパートナーは大手企業のWall Martだ。実証実験は中国の大学と協力して行っている。具体的な実証対象は豚肉で、この豚肉の養殖から加工、売り場までの搬入における流通ルートに関して、トレースアビリティを確立し検証するのが目的だ。この時対象とした豚肉は10万トンを超えていた。この実証データに関してはモバイル端末で確認することができる。この実証実験で、浮き彫りとなった項目は養豚場で使われている餌や加工においてどのような工程が施されたかをブロックチェーン上のデータに記載することで食の安全性を証明することができたことだ。また、この安全証明においてWall Martに提供することで一定のマージンを受け取ることができる。このブロックチェーンを使ったサプライチェーンは新たなビジネスモデルを生み出すことができるだろう。

現在、IBMではこのシステムを主要な大手サプライ系企業、約10社と共同してIBMがシステム開発面でのサポートをする形で開発している、これがIBM Food Trust ™だ。

 今現在提供されている

商品リコール 証明書の管理IBM Food Trust ™には2種類あり、すでに一般向けに利用することが可能だ。

1つ目に、商品リコール:このシステムは主にシステムアビリティを中心に運用することができる

2つ目は、証明書の管理:これは食品の安全保障における第三者証明をブロックチェーンによって信頼性のある情報データ化するシステムだ。このデータに関してはサプライチェーンの利用者と共有することができる。

 

このIBM Food Trust ™に関しては、すでにネット上でデモ版を体験することができる。イベント会場での、プレゼンテーションでは、抵当ピザの実例においてPIZZAのトレースアビリティが披露されたが、例としてはペパロニ(ソーセージの一種)に至る加工食品に関して、使用された食肉の養豚場まで明確に記録されていた。つまりサプライチェーンにおいてこのトレースを活用すれば、加工品でもその加工品の元となる素材を追いかけることができる

 

また、先の北米で発生したレタス問題に関してWall Martは、このIBM Food Trust ™に登録しなければ今後、適応外のレタスの生産者に対し販売を断る対処策を講じている。

 

実例としてはカルフールが使用しており、スペイン市場ですでに使われている

パッケージにQRコードが配置されており、いつどこで何が行われているかが、明確に記されており、スマートフォンで容易に消費者が確認することができる。

 

最後にビジスネットワーク活用した上でプラットフォームを展開すること、および参加者が多ければ価値が上がるこのブロックチェーンに関しては、プラットフォームと参加者がいて初めて完成となると語った。

 

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coraboGate

 

Masayosshi Mitsui

慶應義塾大学大学院で自律分散システムを研究している。これはブロックチェーンにおけるコアな部分であり、人体のDNAにも通じている。

CoraboGateは2017年に設立され現在、日本、ロンドンベトナムなどに拠点がある

主な業務として、ブロックチェーンに関するリサーチコミニュケーションでブロックチェーンに関するリサーチや規制、ユースケースなど幅広く行っている。そのほかにも、アチングプログラム、大企業向けにブロックチェーンプログラムの基本的な使い方や仕組みなどを5日間にわたってコンサルティングするサービスも行っている。

同氏はブロックチェーンコンサルティング業務の中でユニークな実例を語った。

大企業向けに行ったMeetUPでの一例を挙げればKIRNで、すでに3000社ほどのステークホルダーを持っている。原料に関して同じものでも生産場所を分けており、天候不順によるリスクを回避するためだ。

ミネラルウォーターの事例を挙げれば、人体には無害であるがにおいを発する細菌が混入してしまうことがあった。この事件を解明するためにメーカー側が検査に当たったが、原産地と日本国内における品質保証の基準の相違や再検査に掛かるコストが課題となっていた。

 

また、リコールについて例題を挙げれば、問題があった製品の原因を調査することはできるが、物流に紛れ込んでしまった対象品を探し出すのは困難とされている。もし、これらの商品に対して将来的にRFIDを使用することができれば、原因の特定と問題となっている食品を迅速的に回収することができるだろう。

 

他にも、コンビニにおける食品ロスについても、賞味期限が迫っている商品に対して値引きをすることで商品を売り切ることができるため、食品ロスを削減することができる。

 

例えば、森永製菓がユニークな試みを行っている。森永製菓が製造販売しているアイスクリーム”チョコモナカジャンボ”このモナカのパリパリとした食感がまれに損なわれていることがある。これを防ぐためにトレースアビリティを取り入れられないか、また鮮度が下がった場合に値引き対象に出来ないか、などユニークな議論が交わされることもあった。

 

食品偽造の面においては、別の企業で電子タグ偽造防止の為に特殊なインクを使用することで使用されるタグの偽造を防ぐ試みも行われている。

 

現在ネット上ではこのサプライチェーンについて、安全性を確保する、透明性を出し品質の可視化ができるといった定義がなされているが、実際サプライチェーンを導入するにあたって企業からは、どのようなステップを組んだら良いか不透明だという意見が多い。

CoraboGate内での、結論としては導入コストとマネジメントコストをサプライチェーンに掛けることによって果たして、企業の利益につながるのか、実例がない。また1、2年でROYが確立できるのか、それとも10年ほどの長い目線で社会の認識そのものを変えていくステークホルダーが必要になるだろう。

 

技術面においては、アプリケーションの開発に莫大なコストがかかる点だ、まだ、未開拓で発展途上にあるブロックチェーン技術のブロック内に何のデータを入れるのか、データスキーマが変動しすぎる点だ。このアプリケーション開発に掛かるコストに関しては自社で1から開発するよりも、既存のブロックチェーンプロジェクトでサプライチェーンを担っている企業との共同開発も視野に入れるべきである。

既に、海外ではRFIDをライセンス化する動きがあり、東南アジアやアフリカなどで生産者が生産した食品に対してトレースアビリティを使用することで、生産者側のデータを可視化する試みが行われている。

 

将来的に、サプライチェーンによって可視化されたトレースアビリティは社会に浸透するまでに今少しの時間が掛かるのではないだろうか?

 

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株式会社BUILD

登壇者は朝岡氏

OmiseGOとグローバルグレインとの共同設立

主な業務はブロックチェーンのコンサルティング研究リサーチ及び開発Proof of Concept導入だ

コンサルティング面では大企業が持っているブロックチェーンを使ったビジネス思想を具現化するためのサポートやレポートを行い、ブロックチェーンの研究ではエンタープライズ、その知識を広める活動をしている。

最後にパネルディスカッションが様々な来場者参加型で議論が行われた。

 

効果がなければ、普及しないが普及するためのポイントとは

ローソンの実例では、顧客への情報開示することで利益を上げる。

例えば女性に人気なオーガニックに関してサプライチェーンによる情報開示で付加価値に対して納得してもらう。

 

また、コスト削減に関しては、インボイスによる管理から、全可視化した状態になるので管理が一元化できる

 

サプライチェーンの可視化に関しては、川上と川下から実現していくが、問題は中間の工場や仕入先を記すのを避ける傾向がある、

この開示できる情報に関してはビジネス上の戦略があるため、非表示であれば有料で、後悔した場合は無料もしくは、インセンティブなど多様なビジネスモデルが必要である。

 

唯一の問題点は、QRタグがつけられる前に改ざんが行われた場合が今における課題でもある

 

現在模索ではあるが特殊インクやシールを剥がした場合に跡が残ったり、いろいろあるが

今、有用ではないかと言われているのがマイクロコンピュータの一種で、塩粒程度のPCの開発が進んでいる。実用化は3年後を目指している。

 

様々な課題があるが、現在日本国内におけるサプライチェーンのビジネスモデルに関する構築は着々と進んでおり、すでにシステムを用いた実証実験を繰り返しおこなっている。今まで仮想通貨業界といえば、コインに対して価値を求めるビジネスモデルが多かったが、今後重要視されるのは、堅実なビジネスモデルに基いた価値のあるビジネスモデルが市場に進出してくるだろう。